関根優実さん
詩人として作品を紡ぐ傍ら、YouTubeなどを通して創作のプロセスそのものを届けている関根優実さん。
日々のなにげない瞬間から生まれる言葉の捉え方や、頭の中にある表現を受け止めてくれる『MDノートダイアリー』の存在について聞きました。
――現在取り組んでいるお仕事と、そのお仕事をはじめたきっかけを教えてください。
詩人であり、絵描きでもありながら、創作の過程や日々考えていることを撮影し、Youtubeで発信するという活動もしています。
詩を書き始めたのは、高校2年生の頃でした。美術科のある高校に通っていて、3年生の卒業制作展では、詩をインスタレーションに落とし込み展示しました。それが、詩を自分の表現として本格的に意識するきっかけになりました。
当時は「詩」といえば文学や文芸の世界のもので、アートの領域にいる自分とは少し遠い存在だと思っていました。「自分が詩集を作るなんて無理だ」と勝手に決めつけていたのだと思います。
けれどある時、「自分で詩集を作ったって、誰にジャッジされるわけでもないし、自由でいいんだ」と思えるようになって。21歳の時に、初めて自費出版で写真や絵を添えた詩集『ここで佇むことにする』を作りました。そこから、私の表現者としての創作活動が本格的に始まりました。
――作品を制作する上で、特に大切にしていることは何ですか?
私の詩はとても自由です。極端に言えば、単語が3つ並んでいるだけでも、本人がそう思えば詩だと言っていいんじゃないかと思っているほどフレキシブルです。
ただ、大切にしているのは、「声に出して読んだ時のリズムと違和感」です。読んだ時に気持ちよく息継ぎができること。口に含んだ食べ物のようにすっと身体に入ってくる一方で、素っ気なく消えてしまうのではなく、「これは何だろう」と心に残る。そんな良い意味での引っかかりを、音の中に残すよう意識しています。
何かを書こうと構えて机に向かうことはありません。朝起きてコーヒーを淹れ、部屋で過ごしている時に、ふと忘れたくない言葉やイメージが浮かんでくるんです。言葉や香り、シルエットのような断片が走馬灯のように溢れてくるので、それを逃さないようにメモしていきます。言葉はすぐに忘れてしまうので、浮かんだ瞬間に留めておく感覚ですね。
そのアイデアの受け皿として使っているのが「MDノート(A5サイズ・無罫)」です。浮かんだ言葉を一度ノートに走り書きして、後からパソコンでデジタルの文字に打ち直します。画面上で文字を客観的に眺めながら「ここは『の』じゃなくて『を』だな」と調整していく。私にとって詩作りは、まるで料理やコラージュのような感覚です。
最近は、自分の創作に対する意識も少しずつ変わってきました。以前は「自分を表現すること」が一方通行の矢印としてあっただけでしたが、YouTubeなどを通して作品を見てくれる方々と繋がる中で、自分の表現が誰かを勇気づけたり、救ったりできているのかもしれないと感じるようになったんです。
私自身、寝食を忘れて没頭するような「生粋のアーティスト」ではないと思っています。だからこそ、完成された作品や結果だけでなく、そこにたどり着くまでの「日々の暮らし」や「過程」そのものを発信していきたい。この部屋で静かに生きている人間のプロセスを届けることで、何かを作りたいと思っている誰かの背中を、そっと押すことができたら嬉しいです。
――関根さんにとって、手帳やノートにジャーナリングをすることにはどのような意味がありますか?
一言で言えば、「自分と対話すること」だと思っています。
幼少期は人に何かを分かりやすく伝えるなど、外向きの言葉にフォーカスしがちでした。でもそれと同時に、私にとって「絵を描くこと」こそが、人生で最初に出会ったジャーナリング(自分との対話)だったと感じています。
「ここで黄色を使ってみよう」「丸を描いてみよう」と考えるのは、自分の頭の中や感覚をじっと見つめていないとできない作業です。その日着る服や、コーヒーを飲むコップ を選ぶのと同じように、私たちは日常の選択の中で無意識に自分と対話しています。その表現の延長として、忘れたくない感情や思考をノートに残すようになりました。
私の場合、生活と制作(ものづくり)の境目がなく、すべてがグラデーションのように地続きです。 だからこそ、ジャーナリングと作品づくりも明確には切り離されていません。ノートに書いた思考のメモがそのまま詩になることもあれば、絵を描くことで思考が整理されてジャーナリングが必要なくなることもあります。
ただ、対人関係での気づきやモヤモヤなど、絵だけでは整理しきれない感情に向き合う時には、ノートに文字として書き出すジャーナリングがとても効果的だと感じています。
――MDノートダイアリーはどのように使っていますか?
いつも持ち歩いていて、前半の月間スケジュールページには仕事の予定やタスク、余白部分を利用して今月の目標、その日感じたことなどを書き込んでいます。忘れたくない言葉や詩のアイデアが浮かんだ時も、まずはこのダイアリーにメモすることが多いですね。
後半のメモページは、まさに「今すぐ書きたい」「残しておきたい」と思った時のサッと書き留めておくための場所です。
仕事のアイデア出しや電車内で急に思い立ったスケッチはもちろん、時には実在しない新しい漢字を作って遊んでみたり、ふと浮かんだ言葉を思いきり書道のように書いてみたり。とにかく自由に使っています。人との約束や仕事の打ち合わせをしながら、「じゃあ、こういう構成にしようか 」とアイデアを書き留めるのもこのノートです。
手帳としてのスケジュールの枠にとらわれず、頭の中にあるものを何でも受け止めてくれる、私にとってのお助けブックのような存在です。
――最後に、今後の目標や挑戦してみたいことがあれば教えてください。
YouTubeなどを通して、作品として完成するまでの「過程」を発信してきた中で、そうした未完成なものも皆さんに温かく受け入れてもらえるんだ、と実感できました。
だからこそ今後は、写真集でもエッセイ集でも詩集でもない、「端材集」のような1冊を作ってみたいと思っています。
一見すると取るに足らないような、何にもなっていない思考の断片を散りばめた本です。完成された作品を見て「すごいな」と感嘆してもらうのではなく、手に取った人が「自分も何かやってみたい」「こんなに自由でいいんだ、自分にもできるかも」と、創作のアイデアや勇気がむくむくと湧き上がってくるような。
「何でもいいんだ」と読んだ人に思ってもらえることが、私にとって一番の喜びです。これからもあまり枠を決めすぎず、自由な形でものづくりを届けていきたいですね。

